賭博の都。
悪徳と放蕩が降り積もり、腐敗と混沌が大樹をなした都市。
この退廃と奢侈の王都を育てたのが“迷宮”だった。

かつては、堕ちたる聖王の威光を恐れられ、
今は悪意と欲望を抱卵する、目には映らぬ異界の生態系。
再び、天空に牙なす日のため微睡む、魔王の胚胞。

無知ゆえに、その深淵を恐れぬ者は、今日も地の底で蠢きつづける。
飽くなき富と栄光を夢見て。

「ふう」
レオ＝ハイブリッジは、石壁に囲まれたダンジョン内の一室で
タバコをくゆらせ一息ついていた。

最近、彼が得意とするような獲物とほとんど遭遇していなかった。
理想の獲物を見つけ、徹底的にストーキングして最後には陵辱し孕ませる。
そんなポリシーを一貫してきただけに、この不漁は何ともやり切れなかった。
「おかげで、玉ん中が、どんどん重くなっていきやがる」
欲望を吐き出す時は、必ず女の身体の中。
そう決めているレオの欲求不満は、ここ数日つのるばかりだった。

その時、不意に西の扉が開き、１人の若い女の姿が現れる。
ロングストレートの黒髪が美しい、魔術師風の少女と言ってもいいかもしれない。
しかし、その身体つきは、胸や尻が充分に発育していて、彼の欲情をかき立てる。
マジックアイテムが告げる情報によると、
この女の名は、アイリス・フォンブレイズ、旅の女魔術師のようだった。

いきなりの正面遭遇だったため、レオの得意とするストーキングは
使えなかったが、久々の獲物に男は舌なめずりする。