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プリンセスブレイカーズ
ターン0 初期情報/ルフィア編  2010/02/05更新
「ルフィア、ちょっと待ってよ〜」
頭上の後ろから、甲高い呼び声が聞こえてくる。
「あはは、こっちこっち」
その声に構わず、ルフィアの足下はどんどんと駆ける。

朝、清涼な空気、石室へと続く坂道。
その石室の内側に設置されているのが、ダンジョン内部への転送門。
そこから先は、命を賭けた真剣勝負。
真に危険な領域のはずだった。
でも、ルフィアにはそんな気負いは、一切見られない。

「もう、待ってってばー」
背中の羽を全力で羽ばたかせて、空中から野生児を追うシルエは、
そこで意外な発見をする。
「うわ、ルフィアって、結構、胸大きい」
まだ年若いルフィアのバストは、野獣の皮で出来たピッチリとした上着の下、
脚の踏み込みに合わせて、激しく上下している。
妖精の声が大きすぎたのだろうか、先を行く野生児からは無邪気な返事がくる。
「う〜ん、そうかな?」
「うんうん、ルフィアって今、いくつ?」
「わかんない。でも、わかんないけど、今年13なんだって」
「なにそれ?」
「村のオババが、言ってたよ。13だって。なんだろうね? あはは」
それまで、森の奥深くで暮らしてきたルフィアは、村の人間達以外とは、
ほとんど接触がなかった。
それだけに、自分の年齢や身体の発育には、ほとんど無頓着だった。

「ルフィア、そんなオッパイ揺らしてて恥ずかしくないの〜?」
「そうなの? ルフィアわかんないや」
胸に健康そうな2つの果実を収めた当の少女は、いたって無関心。
呆れたようにシルエが、空中で肩をすくめた時、目の前に石室の入り口が見えてくる。

「あの先だね」
ルフィアの弾んだ声が響いてくる。
「行くんだ、ほんとに?」
「うん、一番、奥まで覗いてみるぞ〜」
たまたま知ったダンジョンの存在に、そんな気軽な調子でやってきた野生児の少女。
「じゃ、あたしも着いてこっかな〜」
そして、これまた興味本位で気軽にやってきた風の妖精、2人は転送門の設置された
石室の中へと向かう。
その先に待ち受ける、運命も知らずに。

プリンセスブレイカーズ
ターン0/ルフィア編/ダンジョン内
「うーん、なんだか気味悪い所だね」
転送ゲートより飛ばされたダンジョン内部を見回して、ルフィアはつぶやく。
「言ったじゃない、危ない所だって」
と、得意顔でたしなめるシルエにしても、実はあまり良く分かってはいない。

周囲は、8メートル四方の石壁に囲まれた矩形の空間。
高さは、3メートル弱ほどに見える。
部屋には、北と西の方向に扉が見える。
とりあえずは、このどちらかから、進んでいくしかなさそうだった。

さて、どうしよう?

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行動指定
「くんくん」

ルフィアは鼻をひくつかせ始めた。
危ない鉄の罠の匂いや肉食獣の匂い。
そして、妙に魅力的過ぎる甘い匂い。

森では、嗅ぎ落とすと非常に高い対価を支払う羽目になるそれらをまずは探す。
そして、周囲をひとしきり嗅ぎ回ると、壁をぺたぺた叩いた。

「あっちにはドアで……こっちにはドア、ないんだね?」
しばらく叩いて何もないと判ると、今度は興味しんしんに、
村では全く見たことがないタイプのドアを嗅ぎ回り始めた。

更に、物音にも耳を澄ませる。
無知な割に用心深いのは、自然の脅威の中で育ったが故だろう。

気が済むまで探ると、彼女は(妙な音や臭気がしないと判断したら)
西のドアを開けてみた。開け方が判らず、しばらくドアを弄り回してから。

「えっと、これ……が、ノブって奴だよね。回せばいいんだっけ?」