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プリンセスブレイカーズ ターン0 初期情報/ボボル兄弟編 2010/02/07更新 |
賭博の都。 悪徳と放蕩が降り積もり、腐敗と混沌が大樹をなした都市。 この退廃と奢侈の王都を育てたのが“迷宮”だった。 かつては、堕ちたる聖王の威光を恐れられ、 今は悪意と欲望を抱卵する、目には映らぬ異界の生態系。 再び、天空に牙なす日のため微睡む、魔王の胚胞。 無知ゆえに、その深淵を恐れぬ者は、今日も地の底で蠢きつづける。 飽くなき富と栄光を夢見て。 |
プリンセスブレイカーズ ターン0/ボボル兄弟編/ダンジョン内 |
「弟者」 ボボル兄弟の兄が呼びかける。 しかし、石室内に人影は1つしか見えない。 1辺8メートル四方の正方形の空間が、 魔法照明の薄明かりに照らし出され、ぼんやりと浮かんでいる。 このダンジョンでは、一般的な光景だった。 「なんじゃ、兄者」 光の届かぬ部屋の隅で、次の獲物を狙っていた弟が応える。 「女の臭いがしねぇか?」 「兄者も気付いたか?」 「間違いねぇ、こりゃ上物だ」 2人の口元にニッと笑顔が浮かぶ。 ちょうど、その時だった。 南側の石壁の扉が開く、そこから姿を現したのは、 この場には、あまりに場違いなパーティードレス姿の女性。 黒のヘッドドレスが印象的で、さらに大きく開いた胸元から覗く 豊かな谷間が、兄弟を刺激する。 (へへ、どうする弟者?) 兄は、声を出さずに目線で弟に合図する。 マジックアイテムによると、彼女の名前はアムリア=レスティリア。 ダンジョン挑戦者らしからぬ、その衣装からも、 2人には、容易い獲物のように思えた。 |
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