アムリア=レスティリアは、開いた扉の先に
上背のあるスキンヘッドの大柄な男を発見する。
ボボル兄は、アムリアの姿を目にすると、
全身から怒気を発し、野獣のような咆哮をあげ襲いかかった。
(いきなり、なんなんですの!?)
充分に警戒していたおかげで、アムリアは、その一撃をかわす。
「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお」
しかし、男は再び叫び声をあげると、彼女めがけて両手を振り回しながら突進してくる。
その姿には、まるで知性という物が感じられず、人間というより獣のそれだった。
「くっ、いい加減に、してくださらないこと!」
アムリアは、華麗なパーティードレスを揺らしながら、男の攻撃をかわす。
だが同時に、その豊かなバストが揺れ、それがさらに野獣を刺激する事になってしまう。
(ここは、早めに障壁をはって、この方の動きを封じた方がいいですわね)
彼女が判断した時だった。
「えっ!?」
突如、天井から、もう1人の男が覆い被さってくる。
「うぉぉおおおおお! 兄者やったぞぉぉぉ!」
そう叫ぶと、男は背後からアムリアの身体を羽交い締めにする。
「よし、弟者よ! そのまま逃がすな!」
さきほどまでの理性のない野獣のような姿からは一転、
男は弟に加勢しようと、しっかりとした足取りで迫りくる。
(まさか、わたくしが計られましたの!?)
ビリリッ
ドレスの胸元が破られ、アムリアの密かなコンプレックスだった
豊かな乳房が、まろび出る。
「や、やめなさい!」
彼女の叫びを無視して、野獣の掌が、その柔らかな胸の双丘を
激しくもみしだく。
「ああっ、痛いっ!」
でもその痛みと同時に、甘やかな昂ぶりが感じやすい彼女の膨らみを襲う。
(そんな、こ、こんな男に!)
全身が屈辱に震える。
背中から聞こえる荒々しいオスの息づかいが、ますます恐怖をかき立てる。
(こ、このままでは!)
初めて受ける行為。
欲望塗れの他人の手に激しく抵抗するも、後ろから羽交い絞めにされたままでは抵抗
しきることが出来ない。
(この人たち、何をしようとしているの……? 私に、こんな酷いこと……)
どんなに考えても、答えは一つしか出なかった。
自分は、目の前のスキンヘッドの男と、その弟の欲望のまま、身体を汚されようとしている。
明らかに優しさと礼儀に欠ける風貌。
印象だけで視るならば、絶対に近づきたくない類の人間であった。
羽交い絞めにされているままでは後ろを見ることは出来ないものの、
弟と呼ばれる男も同種の人間なのであろう。
(冗談じゃありません……この身は、誰かと結ばれるまでは
清らかでなくてはいけないのですから……っ)
恐怖を覚え、必死で抵抗する。
しかし、組み伏せられた上に動揺している彼女では男二人の腕力には敵わなかった。
「ひぁっ……きもち……わるいっ……これ、なんですか…っ!?」
(でも……なんですの……これ、体が、熱くなって……)
胸を這い回る手に、極上の柔らかさと弾力を返す胸。
荒々しく乳房をもみしだくその動きは彼女に痛みを与えたが、女性としての防衛本能と
敏感な肢体が僅かながらに快楽をアムリアに伝える。
もみしだかれ、陵辱を受けるうちに乳首は硬く尖り、吐き出す息には淫らな熱が
混じり始めていた。
「へへっ、この娘、感じてやがる」
薄汚い笑みを浮かべるとスキンヘッドの男は、いきなり乳房の先端に勃起した
アムリアの哺乳器に吸い付いてくる。
「イヤーーー」
男の口元からチュッチュッと漏れる水音が、全身を総毛立たせる。
しかも、その紫色の唇の動きに合わせて、不覚にも彼女の乳房の先端部から、
甘い官能の電気が走りはじめる。
(そ、そんな、こんな男に吸われて……)
生まれて初めて自身の乳首を吸わせる相手。
それは、女性にとっては初めてのキスと同じくらい重要な意味を持っていた。
だが、今自分は、その記念すべき重要な初めての瞬間を、
おぞましいスキンヘッドの男に奪われている。
あまりの恥ずかしさと悔しさに、視界が涙で歪む。
(い……や……いやあ……っ!)
体の昂ぶりと、目の前の男たちへの嫌悪感に、目を閉じていやいやをするように頭を振る。
されるがままに衣服をはだけられ、パーティドレスは胸元を引きちぎられただけではなく、
さらには、スカートも引きちぎられ、ぼろきれ同然となってしまう。
男たちはアムリアの反応を楽しむと、自らの欲望を満たすために肉棒を露にする。
「いや、いやいや……止めてえっ!! そんなの駄目ですっ……!
そんなものに触れられたら、私汚されてしまいますわ……!」
涙を浮かべ、必死に止めるように懇願するもそれが聞き入れられるはずもない。
おそらく弟と思われる男が、そのグロテスクな男根を彼女の下腹部にあてがった時だった。
「イ、イヤァァァァ」
絶叫とともに、アムリアの魔力が暴発する。
目には見えぬ魔力の障壁が、攻性の壁となって触れたもの全てを傷つけ、
大きく弾き飛ばしていく。
「ウグゥアッッッッ」
ボボル兄弟は壁に叩きつけられ、そこで意識を失ってしまう。
「兄者、兄者」
呼びかける声に、視界に光が取り戻される。
「くっ、逃がしたか」
ボボル兄は、いらだたしく壁を叩く。
「だが、兄者これを見てくれ」
弟が手にしているのは、光り輝くオーブ。
おそらく、さきほどの女が逃げる時に落としていったのだろう。
正直、さほどありがたくもなかったが、一応懐に収めておく。
「さて、どうするか…」
しばしの沈黙が、石室内を覆う。
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