「追うぞ、兄者！」
「おうっ！」
ボボル兄弟は、アムリアが向かったと思しき扉を開け放つ。
果たして、そこにあったのは思惑通り、手負いの獲物の姿だった。

アムリアは羞恥に頬を染め、ズタズタにされたドレスから
こぼれる裸身を覆い隠そうと努力している。
かつては戦闘服としても機能したそれはは、もはや服装としての用を成していない。
むしろ、美しい花を汚し、蹂躙したというイメージがかえって
裸体よりも男たちの情欲を煽り立てる。
柔らかで瑞々しい双丘が露になり、ロングスカートは半ばで破り取られ、
簡単に下着がのぞいている。

「こいつはそそりやがる」
「へへっ、覚悟しな」
ボボル兄弟が下卑た笑いを顔いっぱいに貼り付けて、
アムリアの肢体に手を伸ばそうとした、刹那、
「こっちよ！」
涼やかな声が響き渡る。
見れば、現れたのは、緩やかなブロンドもまぶしい女戦士だった。

しかし、
「チッ」
その姿にボボル兄弟は舌打ちする。
（こいつか……）
嫌と言うほど見覚えのある女、そっくりの姿。
しかし、その実、彼女−リリ−の中身は完全に男のソレ、
美しい容姿を武器に女冒険者を油断させ、暴行を働いていく兄弟の同業だった。

一瞬、向き合ったリリとボボル兄弟は目線だけで会話をかわす。
（ボボルかよ。なに取り逃がしてるんだ。頭まで筋肉か？）
（チッ、オカマやろうか。たく　きしょくわりいんだよ！）
（おまえ、逃げられたんだから、獲物は俺だぜ？）
（ケッ、後で分け前よこせよ）
声にはならないやりとりの末、ここは黙って引き下がる事にする。
今、獲物を前にして互いを傷つけ合うのも下策、かといってアムリアに
勘づかれる様な動きも避けたかった。
兄弟は黙って、入ってきたのと別の扉をくぐった。

「兄者、どうする、あのままあのカマ野郎に譲るのか？」
次の部屋に入り、弟が、そう声をかけた時だった。
待て、ボボル兄は素早く姿勢をさげさせる。
すると、北にある扉がひらき、そこから銀髪のエルフの少女と、
黒髪をポニーテールに結った見慣れない制服姿の少女があらわれる。
なにかに気を取られてるらしい２人は、兄弟に気づいてはいない。
やがて、部屋の中央に設置されていた直立した棺の様な箱の側にやってくると、
エルフの少女は、その中に入り、黒髪の少女が見張りにつく。

（おいおい、これはもしかして……）
それがトラップの仕掛けられた公衆トイレだと知るボボル兄が
舌なめずりをした時だった。
すぐに部屋の照明が落ちると、あたりが闇に包まれる。
思惑通りだった。制服少女の狼狽した様子を余所に……
エルフの少女が入った箱の壁面が、魔法の力によって透明なガラスへと変化していき、
中の様子を筒抜けにする。
しかし、そこから先の光景は、ボボル兄弟の想像をも上回る物だった。

密室の中、エルフの少女−シルヴィア−は、しばしの躊躇の後、
そっと自身の上着に指をかけると、自らその前面をはだけたのだ。
その幼い容姿にはアンバランスな量感を誇る、
見事な乳房がプルンと揺れながらまろびでる。
（おいおい、脱ぎ始めたぞ！）
滅多に見る事の出来ない、エルフ少女のヌードに兄弟の呼吸が荒くなる。
しかも、どういった理由かはわからないが、シルヴィアはエルフにはあり得ない、
巨乳の持ち主なのだ。
真っ白な肌、指に吸い付きそうな程の張り、そしてブラを外されてさえ、
見事な半球型を保っている美しいバストに目を奪われる。
さらに、エルフの少女は、そのほっそりとした指を自身のバストに
絡めると……
（おおっ）
声に漏らさないようにするのが難しいほどだった。
その姿が、周囲に晒されてるとも知らず、
箱の中のシルヴィアは、弾力のある豊かな乳房を、自ら力いっぱい絞り上げたのだ。
「んんっ、あっ、あああっ」
つづく、甘くそれでいて苦しげな吐息。
そして、エルフの少女の指に強い力が加わると同時に、
その先端の乳首から、純白のミルクがあふれでる。

（すげぇぇぇ、あのエルフ、母乳絞ってるぞ！）
しかも、彼女はその気の強そうなエメラルドグリーンの瞳から、
ぽろぽろと涙をこぼし泣いているのだ。
（こいつは、たまんねぇな）
（ああ、こりゃマライズになった時には、相当売れるぜ）
制服姿の少女は、そんなシルヴィアの光景を絶句したまま見つめつづけている。
兄弟の気配に、気づいた様子はないままだった。