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プリンセスブレイカーズ
ターン0 幕間劇/神威藍香編  2010/02/13更新
幕間 前夜 〜 藍香

 「なによ。子供扱い?」
 「違いますよ。この街が大変危険だっていうことをいっているんです。」
 「大丈夫だって。私が昼間のごろつき程度に負けるとおもう?」
 「いいですか、この街は賭博の街。各国の統治の及ばぬ地域なんです。
 表面上は活気のある大都市ですが、昼間のように一歩裏路地にはいると
 なにが起こるかわからないのです。藍香さん、あなたは賞金ダンジョン
 の挑戦者としてこの街じゃちょっとした有名人なんですがら少しは慎重
 にならないと。」
 「・・・カルロス、あんまりうるさいともてないよ。」
  
 テーブルの上に頬杖をつきいたずらっぽく笑みを浮かべてカルロスを見つめる。
左側には大きなジョッキに琥珀色の液体が半分ほどはいっている。
 
  少し小首をかしげた姿勢。昼間とは違いポニーテールを解いた黒髪が肩から
背中へとサラサラと流れている。目の前のちょっとだけかっこいい男性はカルロス。
学者風の外見どおり魔法使い。私がお世話になっているお屋敷の跡取りさんで
かつ冒険仲間。この世界にきてからというもの危険な冒険にいつも一緒に
ついてきてくれている。
  
 「ほんとに大きな街だよね。ここ数日いろいろ歩き回っているけど
 まだぜんぜんって感じで。」
 「そうですね。私も協会や図書館なども調べていますが、この歴史、
 街のなりたちにしても興味深い事実ばかりです。」
 「封印のダンジョンだっけ?」
 「はい。数百年まえ封印に成功したそうです。そして聖堂を中心に
 人が集まりこの大都市が出来上がったそうで。」
 「ふぅん・・・。封印を成功したひとってすっごいね。この世界の勇者様、
 伝説の人なのかな?」
 「ええ。調査もかねていまこの街の歴史を調査中です。
 もう少しわかったらお教えしますね。」
 「うん。お願いね。そっか、封印ダンジョンに聖堂かぁ。
 明日からは賞金ダンジョンだけど戻ってきたら、
 今度はまずその聖堂っていうのにいってみようかな。」
  
 喧騒。あちこちであがる歓声とおいしい食べ物の匂い。天井へと流れる煙。
天井からさがるランタンの明かりで店内はかなり明るい。壁際には巨大な世界地図。
天井までとどく棚にはずらっとそろった様々な飲み物。大小さまざまな大きさの丸い
テーブルが20以上。かなり大きな店内だ。「海賊船長たちの宴」亭

 「船長ばっかりだったら船、うごかないよね。」
 「そういう意味じゃないと思いますよ。」

 私たちはちょうど店の中央付近のテーブルに陣取っている。今日は明日からの挑戦前祝。
わたしのおごりです。大きな円形のテーブルには五方陣が描かれその頂点には取っ手のような
金属製の短い棒。この棒をにぎって動かすとテーブルがゆっくりと大きく回転する。
二人にはちょっと大きすぎるテーブルの上には、たくさんの料理が大小さまざまな皿の上に
色とりどりに盛り付けられている。食べたことのないような不思議な味から
ほっぺたが蕩けてしまいそうになるほどの美味まで。どれもこれもおいしい料理。

 「じゃんじゃん食べてね。今日は前祝。すみませーーん、ココナと麦泡酒お願いします!」
 「はい。ありがたくいただきますね。って藍香さん、そんなに飲んで大丈夫ですか?
 二杯目ですよ?」
 「大丈夫、大丈夫だって。これほとんどはいってないもん。
 それにすっごいおいしいんだよ?ミルキーで甘くってすっきり。」

 店はさまざまな人種の客で満員だ。入り口付近で飲んでいるのは深緑色の肌が
印象的な森の民だろうか。となりは重装備に身を固めた大柄な戦士と赤い鎧が
印象的な女性の軽戦士。恋人同士かな。。私たちの近くのテーブルでは恰幅のよ
い男性4人が綺麗な結晶を真ん中にさまざまな映像をみながらお酒を飲んでいる。
店の奥には巨人族?の男性ふたり。私がはいってしまいそうなジョッキを軽々と
持ち上げて豪快に飲んでいる。本当にこの世界には様々な人が生活しているんだ。
中二階席には4、5人の男。さっきからこっちをちらちらみている。酒場に不釣合いな
子供とおもわれているんだろうか。

 店のいたるところに大小さまざまな取っ手つきの五方陣。テーブルだったり、
天井から鎖でさげられたオブジェだったり。ランタンの明かりと天井から
釣り下がった五方陣の影、いたるところに張り巡らされた碇用の鎖や投網がなんだか
乗ったこともない海賊船を思わせる。ウエイターに聞いてみるとなんんでも
店主が海にでていたころの魔除けだそうでアクセサリーとしても販売しているそう。
楽しそうに話をするカルロスを照らすランタンの明かりをじっと見つめる。
満腹感と少しだけ体が軽くなったような感覚。あたりの喧騒も心地よく、
こうして異世界を旅していることを実感する・・・・。

 酒場にきてどのくらい時間がたったろう。カルロスはちょっと席をはずしている。
さきほどカルロスに話しかける人物がいた。魔法学校時代の同級生らしく少し話を
といわれ酒場を出て行った。すまなそうに席をたつカルロスに何度もすぐにもどるから
ここにいるようにと言われた。
 「・・・だから、子供じゃないって・・・」

 苦笑い。一回りは違うがいつもなにかと心配ばかりしている。両手でジョッキを
もちくいっと飲み込む。喉をとおる気持ちよさ。体に染み渡るような感覚。さらに
体が軽くなったみたい。

 「ねぇきみ、ひとりかい?」
 「・・・え? あ、いいえ、つれが・・・」
 「きみ、すっごい可愛いね。どこかのお姫様かい?」
 「お、お姫様って、わたしはそんなんじゃないですよ。」

 少しふわふわしている。お姫様っていわれてどきっとして赤くなる。
返事をまたずにその男性は私の真横にどっかりと座り込む。

 「うんうんでも、ほんとに綺麗だよ。それに変わった格好しているよね。
 異国の姫君かな?」
 「いや、ほんとここに集まる海賊船長達の中でもひときわ光り輝いているよ。」
 「そうそう、まるで暗海に浮かぶ一粒の宝石のようだよ。」
 「おまえ、それどこでもつかってんじゃねーよ。この娘にはそれじゃ
 ほめ言葉にならねぇよ!」

 さらにもう反対側にも別の男性が座り込む。いつのまにか私の周りには
4、5人の男性が集まってきていた。みな大きなジョッキを片手に豪快に酒を飲む。
真横の男性たちに挟み込まれる近すぎる位置や、お酒の匂いに一瞬拒絶しようとするが、
なんどもほめる男たちにそのうちになんだか悪い気がしなくなってくる。
この世界の飲みにも慣れないといけないし、カルロスが戻るまでの間だけ・・・。

 「そーか、アイカっていうか!かわいいねぇ」
 「へぇ〜、明日からの賞金ダンジョンに挑もうっていうのかい!
 そりゃ俺たち応援してるぜ!」
 「じゃあ、おれたちからもお祝いだ!ささ、ぐぐーっといってくれ!」  
 新たにわたされたジョッキにはなみなみとワイン色の液体。
 両手にかかえてちょっと口をつけるとその爽やかな飲み口にびっくりする。

 「あ・・すっごいおいしい。」
 「だろ? そりゃ、ここいらじゃ有名な飲み物でな、女性が好んで飲むものなんだぜ?」
 「いいね。アイカちゃん、いいのみっぷりだよ。」
 「・・・ほほう、あの東方の街の石化事件、あれの解決に一役かってたんだ。
 おいおいそりゃ、アイカちゃんいっぱしの勇者様じゃねーか。」
 「・・そんなんじゃ、ないよ。ただ、解決できてよかったなって・・・」
 「いやー、立派、立派だよ。」

 身体が熱い。さっきからふわふわしっぱなし。ランタンの明かりがときおり二つに見える。
ずっと男たちは私のそばを離れずときおり肩を抱かれたり、耳元に息を吹きかけるように
しゃべられたり・・・。最初はするりと身をかわしていたがじょじょに緩慢な動きに
なってきている。カルロスはまだもどってこない・・・。ん、ちょっと飲みすぎたみたい。
男たちの話し声を聞きながら崩れるようにテーブルにつっぷす。

 「・・・おい、アイカちゃん大丈夫かい?」
 「・・・ふふふ」

 腿の下と背中に回された腕。宙に持ち上げられる感覚。遠くなってきた店の喧騒。
・・・じゃまだテーブルの上のものどけちまえ・・・声とともに床に落ちて割れる音。
そのまま平らなものの上に放り投げられる。天井のランタンと五方陣が回る視界にはいる。
・・・え・・あ・・なに・・・そのまわりを囲むように立つ男たちが
こちらをみてニヤニヤ笑っている。その男たちから無数の腕が伸びてくる・・・。

 「・・・な・・・っ・・・にを・・・」
 「アイカちゃん、熱いだろ? こんな酒場で大層な鎧つけてちゃ息苦しいって。」
 「俺たちが脱がせてあげるよ」

 すでに背中の留め金をはずされていた銀の胸当てはかるがるとはずされさらに
制服の上をさするように男たちの手が這いずり回る。

 「やっ・・・やめ・・て・・・ああ!」
 「おいおい、そんなに身体をくねらせてどうした?」

 全く力の入らない四肢を嫌らしく撫で回すように押さえつける男たち。
下卑た笑いが耳に木霊する。男たちは遠慮なしに胸からお尻へ撫でまわし、
ためらいなく制服と下着を脱がしていく・・・。

 「・・・なっ・・・あ・・ああ!」
 あっというまに一糸まとわぬ姿にされたところで両手に皮製の拘束具鎖は
テーブルの五方陣の棒へと固定される。目隠しにボール状のものを口にくわえさせられる。

 「んん!!・・んぐっ・・!!」

 店内は一瞬静まり返りのち異様な熱気に包まれていた・・・。
両手をテーブルに拘束されなにもみえない私の素肌を無数の男たちの手が這いずり回る。
乳房やお尻、そして大切なだれにも見せたことのない秘裂を酒場でむりやり公衆の面前に
さらけさせられ、くぐもった悲鳴、力の入らない抵抗だけをつづけていた・・・。

 「さて、そろそろ神威藍香の処女でもいただくか。」
 「・・・!!んんんっ!!んん!!!」

 テーブルの上で両脚をM字に広げさせられなにか硬いものが一瞬脚の付け根をなぞっていく。

  「さあ、ご開通だ!」
  「・・・・!!!」

  ・・・・

 「いやぁ・・・・・・!!!!!」
 がばっと、ベットから飛び起きる。暗く静まり返った部屋。
 「はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」
 ここは、いつもの宿。賭博の街についてからとっている宿屋の一室だ。

 汗。まだ心臓がドキドキいっている。なにか、なにか悪い夢をみていたのだろうか。
ここのところよく悪夢をみているような気がする。そのまま部屋に備え付けられている
シャワーを使う。冷たい水を浴びながら心を落ち着ける。身体にはなにも異常はない。
・・・いけない。今日はこれから賞金ダンジョンに挑むっていうのに、こんなに動揺して
どうする・・・。大丈夫。きっといままでどおり無事に帰ってこられる。今度こそも
との世界にもどる鍵を見つけないと。

 決意をむねに宿をでた。

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