物語に戻る
プリンセスブレイカーズ
ターン0 初期情報/ストリートチルドレン編  2010/02/07更新
賭博の都。
悪徳と放蕩が降り積もり、腐敗と混沌が大樹をなした都市。
この退廃と奢侈の王都を育てたのが“迷宮”だった。

かつては、堕ちたる聖王の威光を恐れられ、
今は悪意と欲望を抱卵する、目には映らぬ異界の生態系。
再び、天空に牙なす日のため微睡む、魔王の胚胞。

無知ゆえに、その深淵を恐れぬ者は、今日も地の底で蠢きつづける。
飽くなき富と栄光を夢見て。

プリンセスブレイカーズ
ターン0/ストリートチルドレン編/ダンジョン内
20人近くの少年達が、つまらなさそうに床にねそべっている。
周囲は、冷たい石壁に囲まれた8メートル四方の正方形の空間。
彼らが本来根城にしている、奥の領域からは、随分と離れた場所だった。

盗み、運び、恐喝、盗撮、何でもやったが、
対立するグループに縄張りを荒らされて以来、景気の悪さにかけては、
閉山間際の炭鉱労働者に勝るとも劣らない状態だった。
いきおい、少年達の欲求不満も募る。

その時だった。
南の扉が開き、そこから物慣れない風な1人の少女が顔を出す。
以前、とある女冒険者から盗んだマジックアイテムが告げる
情報によれば、彼女の名前はルシフェル・B・オニキス。
クォーターエルフの少女だった。

久々の獲物の予感に、少年達はのそりと動き出す。

◆ ターン2へ