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プリンセスブレイカーズ
ターン0 初期情報/ウミガシラ・ワーム編  2010/02/07更新
賭博の都。
悪徳と放蕩が降り積もり、腐敗と混沌が大樹をなした都市。
この退廃と奢侈の王都を育てたのが“迷宮”だった。

かつては、堕ちたる聖王の威光を恐れられ、
今は悪意と欲望を抱卵する、目には映らぬ異界の生態系。
再び、天空に牙なす日のため微睡む、魔王の胚胞。

無知ゆえに、その深淵を恐れぬ者は、今日も地の底で蠢きつづける。
飽くなき富と栄光を夢見て。

プリンセスブレイカーズ
ターン0/ウミガシラ・ワーム編/ダンジョン内
“彼”には“場所”という概念は無い。
“彼”には“時”という概念も無い。
“彼”には“生死”という概念すら不要だった。
そして、それら不要な概念を用いなくても、
己の意志を感じ取る術には長けていた。
すなわち、何かは分からなくともココは住みにくいのだ。
その不快さだけが、日々つのっていく。

ココは、いくつもの部屋が、細い通路で連なり、
移動が面倒な上に、彼の好む水の満たされた
広々とした空間という物が、ほとんど存在しない。
ようやく、それらしき場所を見つけても、
数日もすれば、水が引き、またも安住の地を求める
苦痛な旅をつづけるしかなかった。

加えてここにはメスもいなかった。
溜まりに溜まった性欲は、なんらかの手段で
解消されねばならない。

その時だった。
がっしりとした身体つきの大柄な女性冒険者が、
西−彼にとっては意味のない記号だったが−の方角から姿を現す。
部屋を満たさんばかりの体躯を誇る“彼”にとっては、
女性−エルリナ−を餌食とする事は、容易い事に思えた。
好奇心と、そして久しく満たされていない欲望が頭をもたげてくる。

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