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プリンセスブレイカーズ
ターン1/春澤りつこ編/ダンジョン内
春澤りつこは、慎重に石室内を調査する。
「ここには、危険はないようね」
魔法学校では、常に主席を争うほど優秀な成績を修めていた彼女も、
実際のダンジョンへと潜るのは、今回が初めてだった。
それだけに警戒は怠らない。
やがて、この部屋に特に見るべき物が無い事に納得すると、
深呼吸を1つ置いて、西の扉を開いた。


扉を開けた先に広がるのは、最初の部屋と同じ石壁に囲まれた無機質な空間。
しかし、そこには明らかに人間の物とは異なるシルエットをもつ存在が1人。
「!?」
彼女が身構えるより早く、その影は意外にも気軽な調子で話しかけてきた。

「やあ、賞金ダンジョンにようこそ」
「は、はい!?」
思わぬ言葉に調子が狂う。
良く見れば、話しかけてきた男は全身が毛皮に覆われた獣人。
もちろん衣服の類は身につけておらず、毛皮の下にはバネのように発達した
筋肉の存在が感じられる。

「ほう、俺の姿を見て逃げ出さない奴は、久しぶりだな」
獣人は愉快そうに笑う。
りつこは、警戒を解かず慎重に言葉を選ぶ。
「学校でも獣人の事は見た事があるから。実際に、喋るのは初めてだけど」
「そうか。俺の名前はエクス。まぁ、ここでの生活が長いからな。いろいろ聞いてくれ」
りつこの不信を気にした様子もなく、フランクな調子で続けるエクス。
しかし、この時すでに彼は失敗を犯していた。
本来なら、りつこが驚きから立ち直る前に仕掛けるべきだったのだ。
なぜなら、彼女は、相手の心が見える、読心の力があったから。
そして、今もその力は確実にりつこにエクスの思惑を伝えていた。

『魔法学校の卒業試験にここに来るほどだ。なめてかからないほうがいい。』
エクスの心の言葉に、りつこは驚きを隠せない。
(どうして、試験の事を!?)
しかし、さらにエクスの心の声はつづく。
『話しかけて仲良くなったふりをして、隙を見て毒を盛る。』
親しげな調子で話を続ける獣人。
だが、その心の内は見た目通り、いや見た目以上に狡猾な野獣のそれだった。

この獣人が、自分を騙し仰せたと油断している、今この隙に、
逆にこちらから攻撃を仕掛けるべきだろうか?
でも、腕力なら明らかに自分が劣る、奇襲に失敗したら……。
りつこが思い迷っている、その時、さらにエクスの深い思念が彼女の精神に響いてくる。

『このメス、いい尻をしてやがる、絶対に俺の子を孕ませてやる』

「!!」
その瞬間、りつこの子宮がキュンと疼く。
(なに!?)
自分でも訳のわからぬ、その肉体の反応に心に不安の雲が沸き立っていく。
(孕ませるって……要するに、それって私を妊娠させるって事よね!?)
この獣人の子を、自分が妊娠!?
ありえるはずの無い未来予感に、しかし、心がざわめくのが自覚される。
その不安の心が、皮肉な事に、今度はエクスに影響を及ぼしつつある事に、
彼女自身はまだ自覚がなかった。

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所持アイテム
オーブ…1個

行動指定
行動指針は変更なしです。

他の人物に対する行動:協力的(魔法で下心などを感知しても
多少のことなら好意的な行動をする)
アイテム発見時:鑑定してみて明確な悪影響が発見されなけれ
ば、基本的に装備できるものはすぐ装備。アイテムはとってお
いて機会がくればためらわず使う。
スイッチなどの仕掛けに対する行動:明らかな罠と見抜けなけ
ればとりあえず作動させてみる。


魔法で男の考えていることが分かった「りつこ」は、計画がバ
レていると知れば容易に襲ってはこないだろうと判断。一応様
子見のために会話を続けるが、毒を盛られる直前に「エクス」
に対して企みがばれていることを突きつける。(読心魔法で知
ったことは伏せる)これで「エクス」はいったん諦める。その
後もいい人を装って「りつこ」と会話を続ける。(心を読まれ
ているとは知らないので)しかし会話中「エクス」は諦めきれ
ず、心のなかで「犯したい」「孕ませたい」等の思いを連発。
「りつこ」は理性では嫌悪するも、読心魔法と呪いによってだ
んだん子宮がうずいてくる。また、「エクス」も「りつこ」の
魔法に影響されますます興奮。そのうち抑えきれず「りつこ」
を襲ってしまう。