開いた扉、そこから現れたのは、
ウェーブのかかったセミロングの黒髪が良く似合う、知的な眼鏡少女だった。
そして、何よりエクスの目を捉えて放さないのは、そのブレザータイプの制服を
内側から押し上げる、豊かな膨らみの存在だった。
凶悪なまでのボリュームを誇る彼女のバストが、オスの本能を刺激する。
エクスは、迷う事なくりつこに先手を打った。
「やあ、賞金ダンジョンにようこそ」
「は、はい!?」
目の前の人ならざるシルエットから発せられた、思わぬ言葉に調子が狂う。
良く見れば、話しかけてきた男は全身が毛皮に覆われた獣人。
もちろん衣服の類は身につけておらず、毛皮の下にはバネのように発達した
筋肉の存在が感じられる。
「ほう、俺の姿を見て逃げ出さない奴は、久しぶりだな」
獣人は愉快そうに笑う。
りつこは、警戒を解かず慎重に言葉を選ぶ。
「学校でも獣人の事は見た事があるから。実際に、喋るのは初めてだけど」
「そうか。俺の名前はエクス。まぁ、ここでの生活が長いからな。いろいろ聞いてくれ」
りつこの不信を気にした様子もなく、フランクな調子で続けるエクス。
しかし、この時すでに彼は失敗を犯していた。
本来なら、りつこが驚きから立ち直る前に仕掛けるべきだったのだ。
なぜなら、彼女は、相手の心が見える、読心の力があったから。
そして、今もその力は確実にりつこにエクスの思惑を伝えていた。
『魔法学校の卒業試験にここに来るほどだ。なめてかからないほうがいい。』
エクスの心の言葉に、りつこは驚きを隠せない。
(どうして、試験の事を!?)
しかし、さらにエクスの心の声はつづく。
『話しかけて仲良くなったふりをして、隙を見て毒を盛る。』
親しげな調子で話を続ける獣人。
だが、その心の内は見た目通り、いや見た目以上に狡猾な野獣のそれだった。
この獣人が、自分を騙し仰せたと油断している、今この隙に、
逆にこちらから攻撃を仕掛けるべきだろうか?
りつこは迷う。
でも、腕力なら明らかに自分が劣る、奇襲に失敗したら……。
その時、より本能に近いエクスの深層に近い思念が、彼女の精神に響いてくる。
『このメス、いい尻をしてやがる、絶対に俺の子を孕ませてやる』
「!!」
瞬間、電撃を受けたかのようにりつこの子宮がキュンと疼く。
(なに!?)
自分でも訳のわからぬ、その肉体の反応に、心に不安の雲が沸き立っていく。
(孕ませるって……要するに、それって私を妊娠させるって事よね!?)
この獣人の子を、自分が妊娠!?
ありえるはずの無い未来予感に、しかし、心がざわめくのが自覚される。
その不安の心が、皮肉な事に、今度はエクスに影響を及ぼしつつある事に、
彼女自身はまだ自覚がなかった。
(この人…)
獣人の黒い思念に、りつこは嫌悪で肌が粟立つのを感じる。
とはいえ、目の前の彼は、そう心に思い描いているだけであって、
実際に行動にまで移したわけではない、まだ犯してもいない罪を根拠に
相手を裁いて良い物だろうか?
生来、生真面目な彼女は、そんな事にも思い悩んでしまう。
幸いエクスは、すぐにでも彼女を襲ってきそうな気配はない。
りつこは、警戒しつつもしばらく様子を見る事に決める。
「ほら、まあ腰を落ち着けて、茶でも飲んでいかないか?」
りつこの逡巡に気づかぬエクスは、手早く周囲に簡易キャンプセットを広げると椅子を勧める。
言われるままにそこに座るが、身動きする度に頭の中にはエクスの想念が響いてくる。
『本当に、いい尻してやがる、これなら5人、いや10人は俺の子を産めそうだな』
『乳もボインボインじゃねーか、へへ、俺の子を孕んだらたっぷりミルクを
絞り出してもらうぜ。なんせ、俺は母乳育児原理主義者だからな』
『早くアソコを突きまくって、この身体に俺の子を孕ませてやりてぇ』
あまりにあからさまなオスの欲望に、りつこの顔はさらに赤くなっていく。
(ダメッ! こんな思考に影響を受けちゃダメよ!)
しかし、理性とは正反対に下腹部の奥ではキュンキュンと子宮が勝手に収縮しはじめる。
(んんっ!)
りつこの心は、読心の力ばかりではなく、学園の男子生徒達によってかけられていた
呪いの影響によって、さらにメスとしての自覚を強化されているのだが、
もちろん彼女自身はそれを知りはしない。
「どうした? 随分と具合が悪そうだな?」
頬を上気させ息を荒げるりつこの姿に、エクスは不審げな視線を送ってくる。
「い、いえ……」
りつこが目を逸らして視線を遮ろうとした、その時、突然、ダンジョン内の
壁の一面が明るく輝く。
「!?」
いきなりの出来事に驚く彼女の前で、光の窓の内側に鮮明な魔法映像が流れ込んでくる。
タコのような姿をした巨大な触手の化け物に、
ガッシリとした体格の女戦士が、全身を拘束されている。
戦士としての筋肉と、女性としてのしなやかさを兼ね備えた、
彼女の美しい肉体は、しばしエクスの視線を魅了する。
だが、そんな事に感心している場合ではなかった。
「!!」
化け物は、次々と彼女の衣服を脱がしていくと……
無数の吸盤で覆われた触手で、女戦士の豊満な乳房に吸い付いていく。
女性の身体にとって、大切な部分に意に沿わぬ吸盤愛撫を受ける屈辱に、
彼女は全身でもがき抵抗する。
だが、異形の豪腕の前には、あまりに無力だった。
ついに、全裸に脱がされた女戦士−エルリナ−の女性器に、
おぞましい異種の男根が挿入されていく。
目前で、グロテスクな化け物によって、女の性が蹂躙される光景に、
りつこは嫌悪と同時に奇妙な熱さを感じながら見入ってしまう。
やがて、オスの本能を剥き出しにして、
エルリナの肉体に激しい情交を挑んでいた化け物は、
ついに全身を小刻みに震わせると、女戦士の穴という穴に、
臭い立ちそうなほど濃厚な白濁を注ぎ込んでいった。
しばしの後、映像は消え失せ元の石壁へと戻る。
呆然と見るめるりつこに、エクスは説明をする。
「ひでぇ、内容だろう。このダンジョンで陵辱された女は、
ああしてココや街中に、その様子が中継されちまうんだよ。まったく許せねえ」
もちろん、りつこの頭に届くエクスの言葉は口先とは正反対だ。
『へへ、このメスが俺のガキを孕む瞬間も、こうやってダンジョン中、
いや、街中の連中に見せつけてやるぜ!』
(そんな、わたしの妊娠の瞬間まで!? み、みんなに見られてしまうの!?)
女としての決定的な瞬間を、見も知らぬ人々の衆目に晒される。
その思考が、ますます彼女の理性を追い詰める。
すでにりつこの乳首は尖り、服の上から見てもそれと分かるほど、
女の興奮を伝えている、しかも、下腹部からは自身の愛蜜が染み出し、
彼女のショーツをねっとりと湿らせていた。
そんな少女の様子を横目で盗み見たエクスは、手元の茶器に素早く
自慢の薬品を流し込んだ、特製の茶を準備する。
薬品には女の生理周期を狂わせる効果があり、彼の目的には欠かせない物だった。
「ほら、気分が悪くなっただろ、このお茶を飲んで……」
『この茶をのんで、へへ、身体を危険日にしちまいな』
そう獣人が、りつこに飲み物を勧めた時だった。
(こ、これ以上は!)
頭の中に響き続ける、卑猥な思念の数々にもう耐えられなかった。
このまま男の欲望を浴び続ければ、自分は最悪の危機を迎えてしまうかもしれない。
(初めてを、こんな男に犯されて…それから…)
それから、自分はどうなってしまうというのか。
自分でも理解出来ぬ、その感情がりつこ自身を恐怖させる。
(ダメ! それだけはダメ!)
追い詰められた少女が、全身の力を振り絞って声をあげる。
「エクスさん、あなたの企みは見抜いているんですよ!」
「え!?」
突然、出来事に間の抜けた声を出すエクス。
「あなたは隙を見て、わたしに、い、いやらしい事をするつもりでしたね!」
「何の話だ!?」
咄嗟に誤魔化そうと狼狽える獣人を無視して、りつこは一気にまくしたてる。
「そのお茶に入ってる薬は、何なんですか!」
しかし、火照り昂ぶった身体が、少女に余計な一言まで口走らせてしまう。
「わ、わたしの身体には避妊魔法がかけられています! あなたの思い通りにはなりません!」
「ひ、避妊だと!? なんでそこまで!?」
エクスの瞳が驚愕に見開かれる。
(このメス、もしかして俺の思考が読めるのか!?)
目の前の少女は、キッとエクスを睨み付けながらも、潤んだ瞳と上気した頬、
さらに豊かな乳房と服を下から押し上げる勃起した乳首を見せつけ、
その肉体が明らかにメスの発情を示している事を、獣人の視覚に訴えてくる。
(くそ、予定とは違うが、このまま犯っちまうか!?)
エクスの下腹部に血流が巡り、ムクムクと肉質の器官が頭をもたげていく、
すると、りつこの視線はそのオスの生殖器に釘付けになっている。
(このメス、見かけと違って…)
エクスは、間近に迫った至福の予感に舌なめずりをする。
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