石壁に囲まれた部屋を慎重に調べたシルヴィアは、
そこに脅威となる物も無ければ、興味を惹く物も無い事を確認し、
次の部屋へと向かう。
「まずは東から攻めるか」
そうつぶやくと、扉を開く。
彼女には、目的があった。
もちろん、目先の賞金などではない。
彼女が求めていたのは“完璧”な避妊方法だった。
当然の事ながら、既に自分自身の子宮に避妊魔法はかけている。
しかし、それが予想外の結末をもたらした事は、
彼女自身の現在の肉体が、何より雄弁に物語っていた。
もう、この身であれほどの屈辱を味わう事には、耐えられなかった。
そのためには、目的の物をこのダンジョンで見つけ出すしかない。
開かれた東側の扉、
しかし、その先にあったのも、さきほど同じ無機質な石壁に囲まれた空間。
ただ唯一、異なった部分と言えば、部屋の中央に台座のような物が
設置されている。
慎重にそこに近付いたシルヴィアが、目にしたのは……
石造りの台座の上に置かれていたのは、皮肉にも黒い貞操帯だった。
しかし、魔法照明の照り返しに輝く、そのアイテムは
それが普通の貞操帯などではない事を、禍々しく主張する。
貞操帯の股間部分には、2つのクスコのような物が取り付けられているのだ。
「くっ」
シルヴィアの端正な表情が嫌悪に歪む。
目の前のアイテムは、明らかに女性を陵辱する事を目的に作られた
忌まわしい器具に他ならなかった。
「こんな物、ここで破壊してやる!」
彼女の緑色の瞳が、憎悪の視線で台座の上に輝くそれを睨みつける。
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