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プリンセスブレイカーズ
ターン0 初期情報/シルヴィア編  2010/02/05更新
賭博の都。
本当の名前は、もう誰も知らない。
その悪徳と放蕩の街、街路の喧噪の中、黒髪ポニーテールの少女が人混みをかき分ける。

「すごいな、ここは」
唇からは、自然とそんな感想が漏れる。
神威藍香(かむいあいか)が、この世界に飛ばされてから、しばらくの時が経つ。
幸い、彼女を保護してくれた公爵家のおかげで、こうしてかなりの自由を得て、
当座の生活にも困ってはいない。
その間、ずっと元の世界に居た頃と同じように人助けを続けながら、
自分の世界へと帰る方法を探し続けてきた。

そして手にした情報、賭博の都の賞金ダンジョンになら、異世界へと通じる
道があるかもしれない、僅かな手がかりを求めてやって来た街。
藍香は、この世界に来てから、これほどの規模の都市、
そして様々な姿形をした人々を目にするのは、初めての経験だった。

怪しげな風体をしたゴロツキ風の男達や、ピシリと背筋ののびた女軍人、
それどころか、一体なにをどうすればそうなるのか想像も付かない
奇抜な姿をした、人とも動物とも付かない生き物達まで、
溢れる人波に通りはごったがえしている。
もちろん目に馴染んだ、この世界ならではの普通の人々の姿も多数ある。
通り向かいの食堂の大屋根の下では、体格の良い女戦士と、
知的な感じのする眼鏡少女という、似合わない取り合わせの2人組が、
仲良くテーブルを挟んで昼食中のようだった。

その時、人混みの切れ目、
そこから一瞬、銀色の矢が射込まれたかのように光が雑踏を穿ち、
神々しいまでのオーラが流れ込んでくる。
周囲を圧する気配と共に、人波を割って現れたのは、
腰まである銀髪、緑色の瞳、しなやかな身体つきと優雅な身のこなし、
息をのむほど美しい少女の姿だった。
「きれい……」
周りの男達はもちろん、藍香もまた目を奪われる。
銀髪の少女が道をゆくのに合わせて、周囲の人々が自然と道をあけるが、
彼女はそれを特に気にした風もなく、ごく当然といった様子で歩みを進めていた。

(すごいっ! エルフだ!)
彼女の輝く髪の間からのぞく特徴的な2つの耳は、
少女がもはや噂に聞く事すら難しくなった、伝説の種族の一員である事を示している。
(ホントに、こんなきれいなんだ……)
永遠とも思える一瞬が過ぎ、藍香と彼女が
肩と肩が触れ合いそうなほどの距離ですれ違った時、
一瞬、エルフの少女の視線が、藍香自身を捉え
その桜色の唇が微笑みを浮かべたようにも見えた。


「本物のエルフ、初めて見ちゃった」
同時に、心の内にわき上がる、大きな疑問。
(でも……凄く、胸、大きかったよね……?)
年の頃は、12か13くらいにしか見えなかった銀髪の少女の胸元は、
しかし、完璧なフォルムの半球形を描き、女性としては
嫉妬を覚えずにはいられないほど、見事なボリュームを誇っていたのだ。
もっとも、口の悪い男なら、乳牛とでも言ったかもしれないが。
(エルフって……みんな、ああなのかな?)
この世界の常識に疎い藍香には分からない。
それでも、もしそうだとしたら、随分と不公平な話にも思える。
あの美貌に加えて、不老とも聞く、その上、その上……
(あんな反則級のナイスバディだなんて!)


藍香が雑踏の中で、人生の理不尽にグッと怒りの拳を
握りしめていた頃、
「ふふ、絵になるわねえ」
今すれ違った、2人の少女、
黒髪の女子高生と、銀髪のエルフ。
彼女達の姿に、自然と口元をほころばせる女性がいる。

旅の剣士であるミサ。
磨きに磨き抜かれてきた、彼女の審美眼。
藍香自身に自覚は無いようだったが、そんなミサの目にとまった
彼女の姿もまた、エルフの少女シルヴィアに劣る物ではなかった。
ポニーテールにまとめられた漆黒のロングヘアー、
すっとのびた背筋がほとんど揺れることなく、
人混みの中を流れるように舞い進む姿は、
その特徴的な制服姿と相まって、衆目の注意を集めるには、十分な輝きがあった。

「あれが神威藍香ちゃんに、エルフのシルヴィアね。明日が楽しみだわ」
風に溶けて消えていく、涼やかなつぶやき。
しかし、そんなミサ自身もまた、
漆黒のダイヤモンドを思わせる美貌の持ち主に他ならなかった。

プリンセスブレイカーズ
ターン0/シルヴィア編/ダンジョン内
「ふう」
翌朝、地上に設定されていた転送門から、シルヴィアはダンジョン内に入る。
周囲は、魔法照明に照らされた薄暗い空間。
石壁に囲まれた正方形の部屋で、一辺の長さは8メートルほどだった。

周りに誰の姿も無い事に、シルヴィアは安堵する。
正直、闘技場での数々の屈辱的な経験から、多くの人々の視線を集める
という環境には、ずっと苦手意識があった。

例え危険なダンジョンの内部であっても、
自分1人だけの方が、ずっと落ち着いた気分でいられた。
少なくとも、あの闘技場でのように衆目の中で、
言語に絶した辱めを受けるような事は無いだろう。

石壁の3方向に扉が見える。
北と東と西に。

「さて、どうするシルヴィア?」

彼女は、自分自身に問いかけた。

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行動指定
行動
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「まずは東から攻めるか。」
そういうとシルヴィアは東の扉をくぐった。
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行動指針
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シルヴィアはできるだけ早く最深部に到達するよう行動します。
最深部に到達したら、最深部を探索します。

行動はハイリスクハイリターン型です。
本人はその自覚がありません。
弱体化したと言うことを頭では理解していても行動が追いついていないせいです。

他のヒロインと出会った場合、自分からオーブを奪おうとはしませんが、
オーブを奪われることを警戒します。
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