室内を一通り調べ終えたリィタ・イータは、
特に異常が無い事を確認した上で、次に開けるべき扉を思案する。
本来なら、トラップに備えてシーフの力を借りたい所だったが、
パーティーがいない以上、1人の力では如何ともしようがなかった。
「なら、なるようになるさ」
気軽な気持ちで、東側の扉を開く。
開かれた扉の先、その先に広がっていたのは、最初の部屋と同じ陰鬱な光景。
ただ唯一、異なっていたのは、部屋の床に箱が1つ設置されている。
無視して通り過ぎても良かったが、リスクを取らずして得る物も無いだろう。
リィタは、覚悟を決めると、慎重に箱を開く。
幸い、警戒していたトラップの類は仕掛けられていなかったようだ。
箱の中には、3本のアンプルに収められた薬品。
文字は読めないが、赤・白・黄の3色のラベルが貼られている。
マジックアイテムの鑑定によると、どうやら効果の異なる3本の回復薬
らしかったが、その詳細な違いまでは分からなかった。
「探索に、回復アイテムは不可欠だしね」
リィタは、荷物入れに3本のアイテムを放り込む。
室内には、東西南北4つの方向に扉が見える。
ただし、リィタがこの部屋に入ってくる時に使った、西側の扉はロックされている。
選べるのは、東南北の3方向だった。
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