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プリンセスブレイカーズ
ターン2/リリ編/ダンジョン内  2010/02/19更新
ファニー・ユニウス・モンデールが扉を開くと、
そこは、最初の部屋とは打って変わった明るい光に満たされている。
部屋の作りその物は、一見目には大差ない。
石造りの無機質な空間と、正方形に区切られた空間。
しかし、まるで真昼のように明朗な魔法照明が輝き、
部屋の隅々にまで光線が行き渡ると、先ほどまで身を置いていた
陰鬱な広間とは天地の差だ。

さらに、ファニーは気づく。
部屋の中央には、石造りの立派な噴水から涼やかに水が吹き上がり、
その傍らの石台には、1人の女戦士が腰掛けている。

驚くほど美しい女性だった。
緩やかなブロンドのロングヘアーと、赤いレザーの鎧が良く似合う。
さらに、完璧に近いプロポーションを誇る、その肢体。
同じ女性であるファニーですら、うっとりとしてしまうほどの
美貌と気品に溢れていた。

「あ、あの……」
思わず気後れしてしまったファニーに、彼女はにっこりと微笑みかける。
「あら、こんな危険な迷宮になんて可愛らしいお嬢さんだこと」
澄んだ音が楽器のように響く、美しい声。
「ここは……?」
なんと話を切り出せばいいのか、とまどうファニーに、
しかし、彼女は屈託なく語りかけてくる。
「そんなに緊張しないで。私はリリ。あなたと同じ冒険者よ」
「わ、わたしは、ファニー・ユニウス・モンデールです」
ファニーも、あわてて挨拶をかえす。
「ここって、休憩にちょうどいいでしょ。少し休んでたところ、あなたもどう?」
そう誘われるままに、ファニーもリリの隣に腰をおろす。
まだ迷宮に入ったばかりなのに、緊張のせいか、もうかなり疲労したような気がしていた。
「はい、これ」
リリは、自分の荷物から、ちょっとした食料を出して、
ファニーに分け与えてくれる。
彼女は、その近づき難い美貌に反して、ずっと気さくで親切な女性だった。


「……なんていう罠もあるから、あなたも気を付けてね」
「ありがとうございます。リリさん、そんな事まで教えてもらって」
「いいのよ。同じ女だもん、危険な目には遭わせたくないわ」
(リリさんって、まるでお姉さんみたい)
すっかり打ち解けた頃、リリは石台から立ち上がる。
「それじゃあ、あたしもそろそろ行こうかな」
「あ、はい、引き留めたみたいになってしまって、すみません」
「いいのよ、そんな事。あたしも楽しかったし」
そう言って笑うリリの笑顔に、しかしファニーは、
一抹の寂しさを覚えてしまう。
(せっかく、こんな良い人にお会いできたのに……)
思いが表情に出てしまったのだろうか?

「ふふ、それじゃあ、あたしと一緒に来る?」
「え?」
「あなたが、迷惑じゃなければ……だけど」
「い、いいんですか?」
リリの思わぬ誘いに、ファニーの心は浮き立つ。
この危険なダンジョンの中で、ひとりぼっちだったのだ。
そんな不安でいっぱいの時、リリほどの女性がいれば、どれほど心強いだろうか。
ファニーの心は揺れ動く。
しかし……
「せっかくのお誘いですが、まずは自分で頑張ってみます」
「そう? じゃあ、無理しないでね」
リリは、気にした風もなく軽く手を振ると、そのまま部屋を立ち去った。


閉めた扉を背にリリは考える。
焦る必要は無い、獲物はいくらでもいるのだから。
そして、その彼女の予感に応えるかのように1人の女性の姿が目に入る。

かつては華麗なドレスであったろう布きれは、既にズタズタに切り裂かれた後で、
ほとんど衣服としての体をなしていない。
彼女は、こぼれそうなほど豊かな乳房を片手で隠し羞恥に頬を赤らめている。
さらには、無残にも下半身には何も身につけておらず、下腹の領域までもが
他人の目に晒されるままになっていた。
陵辱の痕跡こそ発見できなかったが、恐らく危うい所を逃げおおせて来たのだろう。

マジックアイテムの告げる彼女の名は、アムリア=レスティリア。
それを確認したリリは…

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所持アイテム
オーブ…1個
エンコの貝…数セット
どんな罠でも解除できるマジックキー…数個