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プリンセスブレイカーズ
ターン3/リリ編/ダンジョン内  2011/11/23更新

「あ、あなたは……? 私に、一体何の用でしょう?」
目の前に現れたリリの姿に、アムリアは怯えた視線をむける。
彼女は、羞恥に頬を染めズタズタにされたドレスから、
こぼれる裸身を覆い隠そうと懸命に努力している。

かつては戦闘服としても機能したドレスは、
もはや服装としての用を成していない。
むしろ、美しい花を汚し、蹂躙したというイメージがかえって
裸体よりも男たちの情欲を煽り立てることになるだろう。
柔らかで瑞々しい双丘が露になり、ロングスカートは半ばで破り取られ、
簡単に下着がのぞけてしまう。
しかし、そんなアムリアの姿にリリは内心舌なめずりする。
(これはチャンスかもしれない)

その時だった。
轟音とともに、爆発するような勢いでアムリアの背後の扉がひらかれる。
そこに姿をあらわしたのは、大柄なスキンヘッドの双子ボボル兄弟だった。
(なるほど、こいつらの仕業か)
リリは即座に事態を把握すると、すかさずアムリアと男達の間に割って入った。

(ボボルかよ。なに取り逃がしてるんだ。頭まで筋肉か?)
(チッ、オカマやろうか。たく きしょくわりいんだよ!)
(おまえ、逃げられたんだから、獲物は俺だぜ?)
(ケッ、後で分け前よこせよ)
しばしの沈黙ののち、兄弟は渋々といった様子でリリの前から立ち去り、
別の扉へと消えていく。
(うまく追い払えたな)
会心の笑みは表情にはうかべず、心の底から心配そうな女の表情を作り、
床にへたりこんだままのアムリアに向ける。
彼女は、兄弟が姿を消した扉を見つめ、明らかに安堵した様子だった。

「わたしはリリ。あなたは?」
「アムリア=レスティリアと言います。危ない所を助けられました」
「このダンジョンでは本当に気をつけないと。男は女だと思うと襲ってくるわ。」
「ええ、不覚をとました」
アムリアの美貌が、羞恥と屈辱の色に染まる。
(……男の人たちって……あんなに怖いものだったんだ……)
あのおぞましい経験が、彼女の潜在意識に恐怖心を植えつけてしまっていた。
男性への恐怖と忌避。
初めて剥きだしの欲望に晒された貴族の少女の心が、
今にも折れそうなほど軋んだ。

そんな彼女の様子を横目でうかがいながら、
リリは優しくアムリアの傷を治療しながら話しかける。
「アムリア、あなたは、これからどうするの?」
「……実は、さきほどの男達にオーブを奪われてしまったようなんです」
「あのボボル兄弟に!」
驚きの演技はやりすぎず、あくまでも自然に。
日頃から女性を演じているリリにとっては容易い事だった。
即座に剣を握り直し、変態兄弟を追う素振りを見せるリリをアムリアは
慌てて止める。
「ま、待って下さい! 確かにオーブは大切な物です。
 ですが、他人を傷つけてまで……」
(ふっ、チョロいもんだな)
ここまで来れば、後一押しかもしれない。
リリは、そっとアムリアの肩に手を添え、柔らかにささやきかける。
「分かったわ。でも、これからそうすればいいか、一緒に考えましょ?」
そのまま彼女の隣に腰かけると、そのほっそりとした腰に優しく手を回した。


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所持アイテム
オーブ…1個
エンコの貝…数セット
どんな罠でも解除できるマジックキー…数個