ファニーの心は揺れ動く。
しかし……
「せっかくのお誘いですが、まずは自分で頑張ってみます」
「そう? じゃあ、無理しないでね」
リリは、気にした風もなく軽く手を振ると、そのまま部屋から去っていく。
後には、奇妙に寒々しくなった部屋に、ファニーが独り残される。
彼女が、リリの誘いを思いとどまったのは、
かつて冒険者だった姉から聞かされた言葉のおかげだった。
『悪魔は天使の姿でやってくる』
姉は、ファニーが賞金ダンジョンへの挑戦を諦めないと知った時以来、
何度もこの言葉を彼女に繰り返したのだった。
(リリさん、いい人みたいだったけど…)
それでも、この危険なダンジョンで警戒するに越した事は無かった。
その時、部屋の突然、部屋の明かりが薄暗くなると、
壁の一角に明るく輝く映像が投影される。
「!?」
いきなりの出来事に、動転するファニーをよそに、
そこに映し出されたのは……
タコのような姿をした巨大な触手の化け物に、
ガッシリとした体格の女戦士が、全身を拘束されている。
戦士としての筋肉と、女性としてのしなやかさを兼ね備えた、
彼女の美しい肉体は、しばしファニーの視線を魅了する。
だが、そんな事に感心している場合ではなかった。
「!!」
化け物は、次々と彼女の衣服を脱がしていくと……
無数の吸盤で覆われた触手で、女戦士の豊満な乳房に吸い付いていく。
女性の身体にとって、大切な部分に意に沿わぬ吸盤愛撫を受ける屈辱に、
彼女は全身でもがき抵抗する。
だが、異形の豪腕の前には、あまりに無力だった。
ついに、全裸に脱がされた女戦士−エルリナ−の女性器に、
おぞましい異種の男根が挿入されていく。
目前で、グロテスクな化け物によって、女の性が蹂躙される光景に、
ファニーは恐怖と嫌悪に、全身を緊縛される。
やがて、オスの本能を剥き出しにして、
エルリナの肉体に激しい情交を挑んでいた化け物は、
ついに全身を小刻みに震わせると、女戦士の穴という穴に、
臭い立ちそうなほど濃厚な白濁を注ぎ込んでいった。
「な、なんなの……」
ファニーは呆然とつぶやく。
既に、部屋は再び明るさを取り戻し、凄惨な陵辱が再演された事など、
痕跡も感じさせなかった。
しかし、ファニーの心は乱れ続ける。
おそらく、あの映像は、今このダンジョンのどこかで、実際に起こった
出来事なのだろう、犠牲者の女性にさらなる追い打ちをかけるための
映像による辱め。
あまりに悪質なやり方に、ファニーは唇を噛みしめる。
自分もいつ同じ目に遭ってしまうか分からない。
決して警戒を怠ってはならなかった。
ファニーは決意も新たに次に進むべき扉を選ぶ。
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