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プリンセスブレイカーズ
ターン3/ストリートチルドレン編/ダンジョン内  2011/11/23更新

「イヤァァァ」
響き渡るルシフェルの絶叫。
少年達は、一斉に若い少女の身体に群がる。
全身を這い回る、手、手、手。
しかも、おびただしい数のそれは、少女のより大切な部分にまでのびてくる。
(そんな、わたしは、こんな所で……)
幾人からの少年は、ルシフェルの両足をつかむと、そこを無理矢理開脚させてくる。
「やめてぇぇぇ」
太ももの間に、少年の身体が割り入ってくる感触に、
自分の肉体に対して、これから何が行われようとしているのか、
女性としての本能的な恐怖が込み上げてくる。
(わたしは……。こんなところで犯されてしまうの……。
 そう……、彼女のように……。)
あのマライズの中で陵辱されていた女戦士と自分の姿が頭の中で重なっていく。
「お姉ちゃん。そろそろ心の準備はいい?」
とても同年代、もしくは自分よりも下にも見える少年の物とは思えない下卑た笑み。
ルシフェルの瞳に浮かぶ恐怖の色に満足した彼が、ケダモノとなって
少女にのしかかろうとした時、

「うわっぁぁぁぁ」
ルシフェル自身から発せられる強い光。
同時に、悲鳴をあげながら少年達はつぎつぎと彼女の身体から、振り払われていく。
「な、なんだ!?」
「くそっ」
「どうなってんだよ」
苦痛こそ感じなかった。
しかし、光は強い圧力を発し続け、次々と無様に地面へと転がされていく。

「はあ、はあ、はあ」
呼吸を荒げながら立ち上がり、ルシフェルは素早く衣服の乱れを整え直す。
「これはね。全身に魔力を飽和状態にしたの。」
目の前の少女が、自分達のための獲物だと信じ切っていた少年達が、
一転して、身勝手な怒りを燃え立たせる。
「そんなんで、俺たちがビビるとでも……。」
「あなたたちこそ、私の魔力を舐めないで。」
そう言いながら、ルシフェルは襲い掛かる少年1人に無詠唱で拘束の呪文をぶつける。
呪文は顔面にぶつかったかと思うと、蜘蛛の糸が広がり、
近づいてきた少年含む数人の身動きを封じた。
「私は敵に回したら怖いわよ。」
「もう一度だ。もう一度全員で襲いかかれば…。」
そういって、襲いかかろうと武器をとりだそうとするが、
その武器すべてを火球で撃ち落とされてしまった。

「残念だけど……。私は、アルトのことが一番重要なの。
 だけど、何もしないなら、私も見過ごしてあげるから。」
「馬鹿にするなよ、まだ人数なら、こっちの方があるんだぜ」
そう叫び、少年達は一気にルシフェルへの距離を詰めるが……
「そう……。哀れな子どもたちね……。」
そういって、彼女は魔法を放った……。

「逃げろぉぉぉ」
少年達は、口々に狼狽の声をあげならルシフェルに背を向ける。
彼等の単純で直情的な怒りは、同時に、相手が自分より強者であると認識すれば、
いとも簡単に霧散する。
怯えは、恐怖へと転化され、彼等は野生動物の様に逃亡の体勢に入るが……
その先にあったのは、1人の少女の人影。
彼女が手にしている輝くロッドの姿は、少女もまたルシフェルと同じ
魔法の使い手である事を示している。
身長は、ルシフェルより10センチほど上の様に見えるが、
ルシフェル自身が、それほど高さのある方ではない。
さらに、年齢不相応に発育した魅惑的なバストは、
ある意味、ルシフェルと好対照をなしていた。
少年達は、魔法アイテムの力によって、
彼女が爆炎のアイリスの二つ名を以て呼ばれるほどの実力者、
アイリス・フォンブレイズである事を知る。

もちろん、彼等は手段を選ばない。
すかさず傷つけられた哀れな羊の表情となって、
アイリスににかけよっていく、
「痛い、痛いよぉぉぉ」
「お姉さんたすけてぇぇぇ」
「このままじゃ、殺されちゃうよぉぉぉ」
背後から迫るルシフェルが、いかに無慈悲で恐ろしい悪人であるかを訴える。
女は、こういった無垢な少年の訴えには弱いものだと、彼等は十分に熟知していた。


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所持アイテム
オーブ…1個