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プリンセスブレイカーズ
ターン3/ウミガシラ・ワーム編/ダンジョン内  2011/11/23更新

「ううっ、ひっ、はぁ」
苦悦の入り交じった浅い吐息をくりかえす。
身体の内側……とくに、アヌスからは剛肉の感触は容易には消えず、
エルリナの下半身に奇妙な熱を灯しつづける。

「くそっ」
もし彼女が、己の情熱だけを頼りに危険なダンジョンに飛び込んだ、
若輩の冒険者であれば、そのまま心が折れてしまう事もあったろう。
しかし、エルリナには経験という、何よりの武器があった。
これまで、幾度となくくぐってきた死地。
それが、生きるための選択を彼女に選ばせる。
(なんとか、ここから脱出して……)

その時だった。
目の前のオオダコは、ゴポリと音をたてて水中に何かを追う。
見れば、水底に輝くのは、彼女が落としたらしいオーブの輝き。
(くっ、あれが無いと)
しかし、チャンスでもあった。
一時的とはいえ、その生殖本能を満たしたオスが、
宝珠に気を取られている今以外に、危機を脱しうる時はなかった。

エルリナは出来る限り、脱がされた手近な装備を拾い集めると、
そのまま、じりじりと南の扉へと移動をはかる。
そして、その距離が間近まで近づいた時、残された体力を振り絞り、
一気に駆ける。
扉を開くと、かろうじて隣室へと転がりこんだ。

“彼”は獲物が隣室へと逃げ去ったとこを感知はしていたが、
さしたる感慨は抱かなかった。
すでに“目的”は果たした後なのだから。
オスは、できうる限り多くのメスに自らの種を蒔かんと欲す。
そして“彼”もまた、その本能に忠実だった。

巨体をのそりと動かして思考する。
ここで獲物を待ってもいいし、自ら“狩り”にでかけてもかまわない。


ターン2へ ◆

所持アイテム
オーブ…1個