「ううっ、ひっ、はぁ」
苦悦の入り交じった浅い吐息をくりかえす。
身体の内側……とくに、アヌスからは剛肉の感触は容易には消えず、
エルリナの下半身に奇妙な熱を灯しつづける。
「くそっ」
もし彼女が、己の情熱だけを頼りに危険なダンジョンに飛び込んだ、
若輩の冒険者であれば、そのまま心が折れてしまう事もあったろう。
しかし、エルリナには経験という、何よりの武器があった。
これまで、幾度となくくぐってきた死地。
それが、生きるための選択を彼女に選ばせる。
(なんとか、ここから脱出して……)
その時だった。
目の前のオオダコは、ゴポリと音をたてて水中に何かを追う。
見れば、水底に輝くのは、彼女が落としたらしいオーブの輝き。
(くっ、あれが無いと)
しかし、チャンスでもあった。
一時的とはいえ、その生殖本能を満たしたオスが、
宝珠に気を取られている今以外に、危機を脱しうる時はなかった。
エルリナは出来る限り、脱がされた手近な装備を拾い集めると、
そのまま、じりじりと南の扉へと移動をはかる。
そして、その距離が間近まで近づいた時、残された体力を振り絞り、
一気に駆ける。
扉を開くと、かろうじて隣室へと転がりこんだ。
「はあ、はあ、はあ」
(た、助かった……のか?)
扉が開き、オオダコが彼女を追ってくる気配はない。
石畳にへたり込んで自分の身体を見れば、酷い有様だった。
鎧を脱がされ、全裸同然の状態。
しかも、女性としての誇りを主張していた豊かな乳房は、
今では、痛々しい吸盤によるキスマークにまみれ、
さらに、下腹の女肉は、ごっぽりと口を開いたままで……
「!!」
そこから、ドロリと垂れ落ちてくる大量の白濁を目にした時、
不覚にも、一瞬、涙があふれ返りそうになる。
(こりゃ、思ったよりも、手ひどくやられたみたいだね……)
肉体にもまして、精神にもまた、想像以上の傷を受けていた事が、
少なからずエルリナを動揺させた。
その時だった。
「あ、あの……だ、大丈夫……な、わけ、ない……ですよね……」
見れば、そこに居たのは僧侶姿の少女ファニー・ユニウス・モンデール。
痛ましげな表情で、彼女を気遣う様子を見せてくれる。
少女に悪意や邪心の無い事を読み取ったエルリナは、無理をして笑ってみせる。
「なに、ちょっとドジ踏んじまった、だけ、さ」
それでも、彼女の強気な態度にファニーは少し安堵したのだろう。
わずかに緊張を解いた様子の中に、しかし、エルリナは恐怖の気配を感じ取る。
「どうしたんだい? 何もしやしないよ」
「あ、あの、そうじゃなくて…… も、もしかして……タコみたいな化け物が……」
その一言に、エルリナは衝撃をうける。
「ど、どうして、それを!?」
「やっぱり……、あっ、あんなの酷すぎます!」
「すまないが、順を追って話してくれないか」
「あっ」
ファニーがあわてて、説明のために口を開こうとした時だった。
突如、部屋の内部の弱々しい光が薄まっていき、真の闇と言うべき物にとって代わる。
そして、壁面の一部が、明るく輝くと、そこにマライズによる映像が投影された。
映し出されている場所は、ふたたびダンジョンの内部だった。
怪しげな台座からあふれだした、おびただしい数の触手に
銀髪のエルフ−シルヴィア−が捕らわれている。
その神話の世界から切り出されたような、美しい少女の姿が
おぞましい肉管とのコントラストに無惨さを増す。
さらに、幾本の触手が掲げるのが、黒い貞操帯のようなものだと察すると、
エルリナの背筋にゾッとした悪寒がはしった。
そう、ただの貞操帯ではなかった。
股間には、クスコと呼ばれる金属製の医療器具がとりつけられている。
それも、2つも。
その禍々しい輝きに気づいたエルフの顔色がかわる。
「ま、まさか、それをわたしに!?」
銀髪を振り乱して暴れる彼女の下半身へと触手が殺到する。
ビリリッ、と繊維の断たれる音が甲高く室内に響き渡る。
ミニスカートをボロボロにされると、触手達は容赦なく下着まで引き裂いてしまう。
触手達は、黒い貞操帯をエルフの無防備な下半身へと近づけていく。
もはやこのトラップの意図する所は明白だった。
「やめろ、近づけるな! そんなっ! あああっ」
映像の中、シルヴィアは死に物狂いで抵抗をつづけている。
しかし、ついに銀髪のエルフ少女の下半身に、そのおぞましい貞操帯
−呪いの逆貞操帯−が無理矢理、装備されてしまう。
「んっ くうっ」
エルフの喉元から、苦痛と同時に奇妙に艶を帯びた悲鳴が漏れる。
理性の拒絶とは裏腹に、シルヴィアの下半身は、あの鈍い金属の光を見た瞬間から、
ねっとりとした蜜の分泌を開始していた。
そして、その小さな膣口は、卑猥な水音をたてながら、予想外にスムーズに
下腹部の奥底へとクスコを飲み込んでいく。
「あっ ああっ」
触手に支えられたまま、ガクガクと前後に揺れる腰。
やがて2つのクスコは、膣とアヌスにぴったりと収まると、
カチンと小さな金属音を響かせて、自動的にそこを開口させていく。
「や、やめ……ろ……んんっ」
久しく男根を受け入れていなかったメス膣が、こんな無骨な金属器機にさえ、
過敏に反応し、切ない疼きを伝えてくる。
加えて、膣とアヌス、女性にとって最も大切で恥ずかしい部分を、
こんな屈辱的な方法で強制開口されてしまった恥辱に全身が震える。
切なく悶え鳴き声をあげる、可憐なエルフの痴態に満足したのか、
呪われた貞操帯をエルフの少女の身体に完全に固定し終えた触手達は、
もと居た台座の中へと帰っていく。
数分後、室内には、荒い呼吸と共に台座に手をつき上半身を預け、
その女の弱点への責めに、幼い肢体をビクビクと痙攣させる
エルフの姿を映しだしたまま、唐突にマライズは消え去った。
「なるほど、こういう事かい」
エルリナ低い声で独白する。
「はい…… そのさっきは……」
前の部屋で彼女がオオダコから受けた陵辱の様子が、
あのエルフ同様、このダンジョン全域、そして地上の街にまで、
マライズで中継されていた事は間違いなかった。
「くそっ、最っ低っにゲスい事してくれるね、ココは」
自身の痴態が、多くの人々に公然と晒されていた事実に、
心の中には怒りと屈辱の感情が荒れ狂う。
しかし、見ようによっては、自分以上に怯えている若い僧侶の少女の前で、
無様な姿を見せるわけにはいかなかった。
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